”心赴くままに”グローバルクリエイターが感じるローカルの可能性。映像作家逢坂芳郎と俳優小山世莉が表現する十勝・帯広とは
十勝・帯広のプロモーション映像を制作した映像作家の逢坂芳郎さんと、俳優の小山世莉さんにインタビューし、十勝・帯広への溢れる想いを伺いました。
北海道の雄大な自然を感じながら、地域住民との触れ合いを描いた内容となっています。まずはぜひご覧ください。
お二人について
――逢坂さんは東京でどんなことをメインに活動されていましたか。
逢坂氏:
ずっとフリーランスで様々な媒体の映像を作っていました。映像制作会社や広告代理店から仕事を引き受ける形です。半分は国内、半分は海外といった割合でした。その一方で、数年ごとに自主映画を作ってきました。近年はNGOの活動を機にカンボジアに行って、様々な映像を制作してきました。
海外で撮影をしたり、色んな地域に赴いて仕事をして、彼らの生活をみてきた中で、地域、地方の生活とかそこから生まれるコンテンツ、クリエイティブに可能性があると思うようになりました。自分自身も40歳を越えて、残り何をやっていくかと考えた時に、地元・地域に関わる映像をもっと増やしていきたい。その想いがだんだん大きくなっていって、昨年帯広に引っ越してきました。
――小山さんはどのような活動をされてきたのでしょうか。
小山氏:
10年ほどモデルやタレントをしていましたが、もともと映画が好きで俳優になりたい気持ちを忘れられなくて。一念発起して、1年前からフリーランスで俳優をしています。
撮影時から十勝・帯広への愛が
――プロモーション映像『good going tokachi』の制作依頼があった時のお話をお聞かせください。
逢坂氏:
抽象的に「帯広市と映像を作るので、素敵な映像を作ってください」と注文を受けたのが始まりですが、ワーケーションをテーマに夏編と冬編をそれぞれ作りたいということだったので、夏は女性、冬は男性を主人公にして脚本を考えました。
夏版の構成としては誰かが十勝にやってきて、仕事とプライベートが充実した1週間を十勝で過ごすといったものを考えていました。演じられる人を探さなきゃと思っていたところで、小山さんをご紹介いただきました。彼女とは一回会ったかどうかだったんですけど、小山さんがyoutubeで出している演技映像を見て、お互い良いチャレンジになるからぜひ一緒にやりたいと思い、出演をお願いしました。
小山氏:
帯広には仕事関係で行く機会が結構ありました。なんだか懐かしい感じがする街の雰囲気、屋台だったり人だったり、結構好きな場所で。今回お話を頂いた時に帯広ということでちょっと、やったーという感じで。2泊3日で撮影して、泊まったホテルもすごく素敵で、そこでも撮影したんですけど、素敵な場所で、ごはんもすごくおいしくてですね。あと周りの皆さんも本当に温かくて素敵な時間でした。
逢坂監督がすごくナチュラルに引き出してくださる監督なので、それこそ家族の場面であったり、仕事しながらのシーンとか、あとは寝起きも撮ったと思うんですけど、何も構えることもなく、そのままの感じでいけた気がします。
当たり前だけど当たり前じゃない
――クリエイティブ、芸術に携わる逢坂さんと小山さんから見た十勝のこれはすごいなと思ったものがあればお聞かせください。
逢坂氏:
僕たち映像とか映画を作るクリエイターは毎回違うものを創るんですよね。毎回違うものを不定期に、時間もバラバラ、毎日やらない。そんな側の人間からすると農業、特に酪農は毎日働いて生産し続けていてすごいなと。毎日の活動が十勝の農業を支えていると思うと、彼らからしたら当たり前かもしれませんが、実はすごいことなんじゃないかって思います。
小山氏:
一つは自然で、大規模な自然がすぐ近くにある環境がすごくいいなと思っていて。作中の馬に乗るシーンは大好きで、すごく近くにそういう環境があって。札幌もちょっと行けばあるんですけど、帯広みたいな規模の自然はないので。すごく魅力的だなと思います。
もう一つは街なかの北の屋台。街がさらにぎゅっと凝縮しているじゃないですか。行けば誰かに会えるかなとか。この前、仕事の関係で帯広に夜行くことがありまして。北の屋台を歩いてたら撮影でお邪魔した「ポンチセ」さんを見かけたので、ちょっと覗いてみたら逢坂さんがいらっしゃったんですよ、偶然(笑)。
――それはすごい偶然ですね(笑)。
小山氏:
ちょっと歩いていたら会うかもしれないくらいの気持ちで寄ってお会いしたので、そこがすっごくいいなと思っちゃって。街がコンパクトで、人が集まるところがある帯広ならではと勝手に思っています。それがついこの間の火曜日なんですけど(笑)。
逢坂氏:
僕も久々に行って、ここで撮ったなーと思ったところに本物が来たんで(笑)。
いつか道は拓ける
――十勝・帯広で何かやってみようとしている人に向けてメッセージをお願いします。
逢坂氏:
『My little guidebook』という映画を創ったときに、十勝の魅力として、観光地は少ないかもしれないけど「ドライブすればどこでも観光地」みたいなメッセージを意識していました。魅力あるものは、足を動かせば見つかるチャンスがきっとあると思うので、自分で発見しながらやっていったら、いいことが起きるんじゃないかなと思います。
――ありがとうございます。自分で得る一次情報は大事だと思います。小山さんからは逆に、十勝に住んでいる人に対して、外にいる視点からの感想をお聞かせ願えればと。
小山氏:
十勝に住んでいるというだけでものすごい場所に住んでいると思うんですよね。さっき言った自然もそうですし、農業も酪農も豊富な場所に住んでいて、本当に宝ですよね。札幌から見て、帯広の方って温かく感じるんですが、それは十勝に住んでいるっていう自負が生んでいる部分があるからなのかもしれないなって思います。
地域から世界へ
――今後逢坂さんが目指されている、撮っていきたい映像などあれば、お聞かせ願えますか。
逢坂氏:
もう具体的にありまして。まだ馬で農業をしていた時代、昭和30年中盤くらいまで続いていた農家の結婚の風習がありました。農家が冬の時期に結婚式を行う際、自分達が飼っている馬に花嫁姿の新婦を乗せて自分の家から新郎の家に向かう、「馬橇の花嫁」という風習があったんですよね。
雪景色を背景に馬と花嫁の写真というのがすごくインパクトがあって、これをモチーフにした短編映画を撮りたいなと思っています。それは今まで十勝の農業を支えてきた、馬の時代の農業に思い入れを持った人たちへの尊敬の念もありますし、十勝の農業文化、風習を映像として残すためにもやるべきテーマだなと思っています。
――以前、聞いたことがある話で、バスがなくて馬車で通っていたこともあるとか。そういった文化のアーカイブって残っていないのかなと。
逢坂氏:
写真はそれなりに残っているんですけど、映像は見たことがなくて。東北地方とかに白黒のフィルムで馬橇の花嫁の映像とか見つけたんですけど、帯広・十勝の映像が無いなと思って。これはもはや再現して、映像化したいなと思ったんですよね。
――これは観てみたいですね。小山さんは、今後どういう活躍したいとか、どんな軸をお持ちですか。
小山氏:
フリーランスになる時から言っているのが、逆輸入的な俳優になりたいなと。言い続けていたら、いろいろ海外の作品にも少しずつ関わらせていただく機会とか海外の監督さんにお会いする機会も増えてきたので、実際になっていければいいなと。
――壮大ですごいですね。これからも楽しみです。これを機に、あの逢坂さんが、あの小山さんが、という映像が世間を席捲する日を夢見ています。東京的な文化と地域の文化は比べても仕方ないと思うこともありますが、文化について自治体へ思うことなどありますか。
逢坂氏:
人間は表現する生き物だと思っています。表現をすることで人間は活力を生み出します。表現する機会、活動をしている人が多い街はすごくかっこいいなと思います。僕たちは何もないところ、経済が悪いところだと芸術だけでは生活できませんので、農業を中心とした経済の安定した十勝は表現活動がしやすい地域であると思います。また、都市部のまねをするのではなく、十勝という土地だからできることをやり続けることで、地域の文化が守られていくのではないかと思います。
小山氏:
ロケーションが素晴らしいところがたくさんあるので、制作会社とか撮影所とかがあればすごくいい産業になるんじゃないかなって思っています。私自身、手探りで動いてまだ1年なんですけど、自分で演技を撮ったりしたのが今回の逢坂さんの作品出演につながったりとかありました。だから無ければ自分たちで作っていく、十勝・帯広はものすごくいいところだし、きっとできるって思います。
インタビューを終えて
「子どもの頃、何をしたかったのか」
誰もが浮かぶこの問いに、心から夢中になって、まっすぐ誠実に挑戦するお二人。十勝・帯広のPR動画を制作するのにぴったりな素敵な方でした。お忙しい中、ありがとうございました。
「新しい何か」を生み出す方の共通点。それは時代の流れを意識しつつも、心底夢中になってコトに向き合っている方だと感じています。十勝・帯広には事業のタネ、夢中になるコトがあるはずです。ぜひ新しい可能性を探しに来ませんか。
十勝・帯広の魅力が詰まった映像作品『good going tokachi』は誰もがイメージする北海道そのものです。ぜひ一度ご覧ください。
冬編はこちらから。
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